パケ裏のあらすじを読んでみると、なんだか「コトリバコ」という有名な超怖い話を髣髴とさせる感じで。
(「コトリバコ」の詳細はコチラ⇒【閲覧注意】コトリバコ【都市伝説】霊感の強い友達の話。 ※超怖いのでリンク先の閲覧は自己責任でお願いします!!)
これはいいぞ!と超ハイテンションでレンタルしてみたんですが、、、フタをあけてみれば単なる「悪魔憑き」の話でした。。
「悪魔憑き」って、やっぱり西洋文化、特にキリスト教文化との関係が強いもので、日本人にはいまひとつピンと来ないもの。
そもそも日本には「悪魔」がいないもんで、根本的に「悪魔」という存在に対して「怖い」という感覚を持っていないもんで。。
当然「悪魔憑き」の映画にも怖さを感じないわけです。
そういうわけで、僕は「悪魔憑き」の映画があんまり好きではなく、「『エクソシスト』さえ見ておけば充分かな。。」と思ってる口なんですが、本作も面白いところはいろいろありつつも、その考え方を変えるほどの“何か”を持っているわけではなかったかな〜という感じでした。。
作品概要
2012/アメリカ・カナダ合作 上映時間:92分 G
原題:The Possession
配給:ブロードメディア・スタジオ
監督:オーレ・ボールネダル
出演:ジェフリー・ディーン・モーガン、キーラ・セジウィック、マディソン・ダベンポート
<あらすじ>
妻と離婚し、週末ごとに2人の愛娘と過ごす中年男クライドは、とあるガレージセールでアンティークの木箱を購入して以来、次女エミリーに異変が起こっていることに気づく。その箱に異常な執着心を示すエミリーは、徐々に性格が凶暴になっていき、奇行をエスカレートさせていく。我が子の変貌ぶりに危機感を覚えたクライドは調査を開始するが、時すでに遅く、エミリーの体には恐ろしい“何か”がとり憑いていた。
(2004年、ユダヤ民話に伝わる邪悪な存在「ディビューク」を封印したという箱が大手オークションサイト「eBay」に出品され、超常現象や都市伝説の研究家の間で話題を集めたことに着想を得て製作された。)
感想
というわけで、結論から言えば「いまひとつ」なホラー映画だった本作『ポゼッション』ですが、良かったところ・面白かったところもそれなりにある映画でした。
特に、悪魔に憑かれる少女エミリーを演じたナターシャ・カリスの演技はなかなか凄まじく、結構グッとくるものがありました。
かなり幼い少女ながら、通常時の無邪気さと悪魔モードの演じ分けは見事だったし、何より鏡の前でたたずむ姿からは年齢に全くふさわしくない強烈な“色気”を放っていたのがたまりません!
まあ、これは僕のなかに“よからぬ属性”が芽生えてしまったせいなのかもしれませんが……あのケツ!!
その後の特殊メイクやCGを使った“悪魔憑き”の表現以上に、妖気をたたえた姿のただならぬ表現力にすっかりやられてしまいました。
そして、特殊メイクやCGのシーンもそれはそれで結構なインパクトが。
口の中(というか顔の中)を這い回る「手」や、目が反転して白目になるシーンなど、なかなか強烈なシーンが多数あり、少女に無数の蛾が群がるシーンも、なかなか壮絶!
特に大量の蛾が口の中に入ってくるシーンは、生まれも育ちも田舎の僕にとっては「虫が口の中に飛び込んできた時の気色悪さ」を実体験として持っているだけに、かなり“生理”に響いてくるホラー演出でした。
まあ、それに比べて顔が完全に悪魔になったシーンや、最後に登場する悪魔本体の姿なんかは結構しょぼくて。
しょぼくてヌルヌルしてる様は気持ち悪いといえば気持ち悪いんですが、細かい演出がわりとよく出来ていただけに「肝心のところがあれ?」と思わざるを得ないクオリティ!!
なんでしょう、その辺のお化け屋敷の着ぐるみみたいなのをゴニョゴニョ動かすくらいなら、アレを登場させない感じで表現(例えばBGMやSEのボリュームが超でっかくなっておいて、箱が閉まると同時に無音。みたいな感じで。ベタですけど。)しておいた方が良かったんじゃないかな〜と思うほどのショボさでした。
あと、この手のホラー映画で「コンパクトにまとまっていること」っていうのは非常に重要で、90分っていう尺は実に適切な長さだったと思うんですが、直接何かをしたわけでもない学校の先生やお母さんの彼氏がヤラれっぱなしでまったくフォローされることなく終わっちゃうのもどうなんでしょう。
先生はまあ死んじゃったのでしょうがないし、“担任が死んだのに平然としているエミリー”の異常性演出としての役割を果たしてはくれたんだけど、歯を全部持って行かれちゃった彼氏さんは一体どうなっちゃったのよ?
正直あの男のには結構イラツイていて、「娘のことを一番に考えてますよ」アピールをしながら主人公を責めまくったくせに離婚直後から彼氏を我が物顔で家に入れている母親共々「クソが!!」と思っていたりもしたんですが(THE・男目線)、さすがにあの仕打ちは…。
お姉ちゃんの歯を弄くろうとしてたこと(歯科医なんでおかしなことではないですが)に対する「歯には歯を!」な仕打ちなんだとは思うんですけど、あの歯がボロボロと抜け落ちる“リアルに嫌”な展開はかなりゾッとして、彼の行末を本気で哀れんでしまいました。
こう考えてみると、上述した「虫」のシーンと同様、こういう“嫌”なシーンの表現は本当に巧い映画。
だからこそ、最後のあの悪魔のショボ〜いビジュアルはホントにどうにかなんないもんかねぇ…というところに思いを馳せてしまうのでした。。。
というわけで、いつものクソ長い感想文に比べると非常にあっさりとした感じの今日のエントリーですが、…
まあ、、、ね。。。
オチの展開も含めて「来るぞ、、来るぞ〜、、、来た〜〜!!!!」というホラーの黄金率を踏襲した展開が多く、ホラー映画の醍醐味を味わえるという意味では満足のいく作品で。
オープニングの一連があってからの、「箱を持った少女を見つめて錯乱する包帯グルグル巻きのババア」という前フリ(まあ、箱に封印された状態であそこまでの力を振るえちゃうのはどうしたこと?とは思っちゃうけど。)や、箱の裏の鏡に映った少女の顔が醜く変形するところなど、「“悪魔”の具体的な姿をみせない恐怖演出」は割と大好きでした。
でも、そういう演出があったからこそ、ついに実体化したその姿のあまりのショボさにかなりガックリしてしまったのが、この映画に対して総合的にちょっと冷めちゃってる原因です。。
いやー、アレはないわ。。。
まあなんにせよ、やっぱり「悪魔」っていうテーマを持ってこられるとどうしても気持ちが乗っていかないというのがそもそものお話。
ツタヤさんも出来れば「ホラー」コーナーのサブカテゴリーとして「悪魔憑き」を明記していただけると今回のようについレンタルしちゃうことも無いのでこちらとしてはありがたいんだけどな〜なんてことを思うのでした。
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